近年、様々な業種で外国人材の活用が必要不可欠なものとなっています。人材採用において外国人材を雇うことを選択肢に入れることが常識となる日も近いかもしれません。

とはいえ外国人材を初めて受け入れる際、多くの経営者や人事担当者が「外国人を雇うには何から始めればいいのか」「受け入れ経験もないし、ウチで外国人材を雇うのは難しいんじゃないだろうか」と考えているのも事実です。

確かに、外国人を雇用する場合の注意点として「日本人と同様に適用される法律・ルール」に加えて「外国人特有の法律・ルールや文化の違い」があり、日本人採用よりも事前準備が必要になります。ただ、そういった中でも日本で活躍する外国人材は年々増加しています。

今回は、昨今の日本での外国人雇用の状況を踏まえて、実際に外国人材を受け入れるにはどのような点に注意すればいいかを説明します。

日本での外国人雇用の現状について

最新の厚労省の統計によると、2021年10月末の時点での外国人労働者は約173万人となっています。新型コロナの影響で前年比およそ2,900人増でしたが、新型コロナが発生する前は毎年20万人近くのペースで外国人労働者が増加していました。

国籍別に見るとトップ3はベトナム、中国、フィリピンの順で、ベトナム人労働者は約45万人と外国人労働者の4分の1以上を占めています。

また、事業所の規模別では「30人未満」規模の事業所がもっとも多く外国人労働者を受け入れていて、小規模事業者がより積極的に外国人労働者の雇用に動き出していることが伺えます。

外国人労働者を受け入れる方法

それではここから外国人を雇うことを検討している事業者向けに外国人労働者の受け入れ方法を解説していきます。

募集方法

まずは外国人労働者を受け入れる際の募集方法についてです。主に以下の3つの方法があります。

ハローワーク

ハローワークは日本人にも広く利用されていますが、全国のハローワークでは日本人と同様に外国人に対しても職業紹介を行っています。

一部のハローワークでは、英語や中国語、ベトナム語などに対応できる通訳が待機しているところもあり、外国人も利用しやすい環境整備が進んでいます。

ハローワークを利用した人材募集のメリットは、何といっても費用が掛からないところでしょう。そのうえ、条件を満たせば助成金や補助金を受けることができるのも大きな魅力です。

一方で、ハローワークは手続きが煩雑なため、外国人の利用者が多くないというのがデメリットです。求人を出しても応募がないということも考えられ、徒労に終わるかもしれません。

ただし、ハローワークの複雑な手続きを踏んで面接に応募してくる外国人は、その時点で日本への適応能力が高いとも言えます。

人材紹介会社

外国人材を雇うためにもっとも早くて確実な方法は、人材紹介会社を利用することです。

外国人雇用に必要なノウハウや独自の人材募集ネットワークを持っていることも大きな強みで、希望する人材のイメージをできるだけ明確に伝えることで、書類選考や面接にかけるコストを削減できます。

ただし、人材紹介会社は数十年の経験があるところから設立間もないところまで多種多様です。

したがって、優秀な人材を採用するためには、人材紹介会社の選定も重要なポイントとなります。

SNS

FacebookやInstagramといったSNSを使った求人が盛んに行われている国もあり、外国人材の中にはSNSで仕事を探すことが普通になっている人達もいます。こういった外国人材にアプローチするために、SNSを利用するのも手段の一つです。

特に、ベトナムではFacebook、中国ではWeChatやWeiboの利用者が多く、こういったSNSを利用して求人を行うことで、特定の国の人材をのみを求人することも可能です。

デメリットとしては、自社の投稿を見てもらえるようなコミュニティに入らなければならないため、SNSに慣れない人にとっては手が出しにくい方法になっています。

採用前の確認事項

外国人労働者の受け入れ前に必ず確認しなければならないのは、採用しようとする人材の在留カードです。

まず、面接前や面接の時点で在留カードを見せてもらい、その在留カードが有効なものかどうかを確認します。残念ながら偽造在留カードは一部で出回っているので注意が必要です。

本物か偽物かの確認は、出入国在留管理庁が配布しているアプリかウェブサイトで確認ができます。在留カード番号はカード右上に12桁で印字されています。

*アプリについて
https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/rcc-support.html

*ウェブサイト
https://lapse-immi.moj.go.jp/ZEC/appl/e0/ZEC2/pages/FZECST011.aspx

在留カードが有効であることがわかれば、次に在留資格が就労可能なものかどうかの確認も大切です。

在留資格に応じて就労可能・就労不可が分かれており、就労可能であっても特定の企業でのみ就労が認められている場合もあるので注意が必要です。

また、就労不可の在留資格であっても、資格外活動の許可を受けている場合は、週28時間以内であれば就労が可能です。

このような確認を怠って不法就労状態の外国人を受け入れてしまうと、企業だけでなく採用担当者も罰せられるおそれがあります。

採用後に必要な手続き

外国人労働者の採用後に必要な外国人特有の手続きとして、入管への書類提出が必要になります。

どのような書類を提出するかは採用する外国人労働者の在留資格によって様々です。

例えば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人労働者であれば「所属機関に関する届出」が必要となり、「特定技能」の外国人労働者を採用する場合には「資格変更申請」が必要です。

「所属機関に関する届出」は出すだけでOKですが、資格変更申請については入管での審査があります。

申請後に追加書類の提出を求められたり入管が混雑する時期(毎年3月ごろなど)であったりした場合、想定していた時期を過ぎても許可が出ないことがあります。

このため、早めに申請を行うことと、もし許可が遅れた場合は入社時期も遅れることを事前に外国人労働者に伝えておくことが大切です。

また、「特定技能」の場合は外国人労働者へ支援をすることが法律で定められていますので、雇用契約内容や入社後の注意点を3時間以上掛けて説明したり、寮の準備をしたりしなければなりません。

労務管理について

外国人労働者が入社した際は、外国人雇用状況届出書を忘れずにハローワークへ提出しましょう。雇用した外国人労働者が雇用保険に加入する場合は、同時に届出ができるようになっています。

労働関係法令や社会保険については、日本人であっても外国人であっても同様の取り扱いとなります。

事業主は外国人労働者からも所得税や社会保険料の天引きをすることが必要です。

逆に、外国人労働者側から「なぜ保険料が引かれているのですか」「私は社会保険に入りたくないです」と言ってくることがあります。

社会保険は法律で強制加入となっていることや、厚生年金については加入期間に応じて帰国後に脱退一時金が貰えることなどを説明して、日本の制度への理解を促してあげることも外国人を受け入れる際には大切になってきます。

外国人を雇用する際の注意点

外国人労働者を受け入れる前に理解しておくべき注意点を解説します。

外国人労働者を差別して、例えば外国人労働者にだけ福利厚生制度を使わせないということは当然トラブルのもとになります。差別は絶対にないようにしなければなりません。

そして、意外と見落としがちなのが、外国人労働者だけを優遇することもトラブルのもとになるということです。

例えば、外国人労働者が新型コロナに感染したときだけ、かわいそうだということで給与を全額補償してあげるとか、数分の遅刻を大目に見てあげるなどです。

外国人労働者によっては優遇してもらっているのを当たり前に感じて要求をエスカレートする人もいますし、日本人社員が差別感を感じて不満を募らせることも考えられます。何より、日本人と外国人を公平に取り扱うことが重要です。

こういった外国人労働者への差別・優遇はトラブルの種ですが、一定の配慮はすることが望ましいです。

日本語が得意でない外国人労働者であれば簡単な日本語を使ったり、短い文で話したりすることが有効です。

また、国によっては人前で叱られたり大声で怒鳴られたりする習慣がないところもあるので、指導方法も外国人労働者の出身国に応じた手法を用いると定着率の向上も期待できます。

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外国人労働者の受け入れ方法を理解しましょう

はじめにも書きましたが、外国人労働者を受け入れる際には、社会保険の手続きなど「日本人と同じように適用される法律・ルール」と、入管などへの手続きや入社前準備などの「外国人特有の法律・ルール」の2つがあります。

この2種類の存在を頭に入れつつ受け入れ方法を調べれば、情報収集が順調に進められるでしょう。外国人を雇うことを検討している場合には参考にしてみてください。

参考資料

厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/gaikokujin-koyou/06.html

厚生労働省「通訳がいるハローワークのご紹介」
https://www.mhlw.go.jp/content/000592865.pdf